高尾山散歩3 頂上のアナグマ、ツチハンミョウ 番外
蝶と関係なくてもよく登っている高尾山の散歩3回目です。 mats
頂上でこれまで何度も見かけたニホンアナグマ。付近に棲みついていて本来夜行性のはずが昼間に人がいる中に、少し気にしながらもよく出てきて歩き回っています。強そうな相手に出くわしてこれはかなわないと思うと死んだふりをするらしいのですがまだ見たことはありません。ひょっとすると「かなわない」と思われてないのかも・・・
3~5番目は山頂の地面を這っていた濃青緑色のヒメツチハンミョウ、最近紹介したハンミョウ或いは裏の多摩川にいるコニワハンミョウとは分類上、別の科に属しその生態は驚異に満ちています。ヒメツチハンミョウは外から刺激を受けると毒汁を出すのですが、逃げられないと判断(?)するとアナグマと同様に死んだふりをするところで奇妙な共通点があります。
「死んだふり」と言えば、ヒトが運悪くクマに出会った際の定番対策とされていますが、これって??? それでたまたま助かった人たちだけの成功体験(本当は、その時クマが満腹だったとか、腹痛だったとかいう理由で襲われなかっただけかもしれないのに・・)が拡散、伝承されて定着したような気がするのですが、いずれにせよ、信じる、信じないは自己責任で・・・
↓ ヒメツチハンミョウ(ツチハンミョウ科) 頂上を散策中
↑ 何千個もの卵を産むヒメツチハンミョウ、なぜそんなにたくさん? ⇒ 成虫になる可能性が殆どゼロに近いから。
余りに奇異な生態から、かの有名なフランスのファーブル昆虫記でも取り上げられていて、同昆虫記によると:
地中に産まれた卵から孵った幼虫は地上に這い出ると花によじ登りひたすら訪花する寄生主となる特定のハナバチの到来を待って ⇒ それとおぼしき昆虫が来たらしがみつく、まちがえて蝶やハナムグリにしがみついたらそこで一巻の終り ⇒ 目当てのハナバチであってもオスではだめでその場合は機会を捉えてメスに乗り移れなければそこで終り ⇒ ハナバチの巣に連れて帰ってもらった幼虫はハナバチの卵、幼虫、巣に貯えられた花粉などを食べて成長して蛹化 ⇒ 羽化してやっと成虫になる。
・・・と、数行で流れだけ書いてしまえば簡単ですがこの間、いたる所にサドンデスの危機が散りばめられ孵化した卵が成虫になる確率という点ではありえないような心もとない世界で生きていて、好んで何千個もの卵を産んでいるわけではなさそうです。成虫になってのんきに山頂を這い回ってはいますが実はエリート中のエリートなのです。
↓ ヒメツチハンミョウの頭部。アリみたいだが毒汁を出すので綺麗だからといって触るのは NG!
↓ 腹部。とても翅では覆いきれず飛べないので這い回るだけ。切羽詰まると死んだふり
↓ こちらはハンミョウ(オサムシ科) 自由に飛べる。 西宮市 8月上旬
↓ コニワハンミョウ(オサムシ科) こちらも飛べる。飛び立つところ 多摩川 5月上旬
↓ 冬以外で頂上から富士山が見えたのは3回に1回くらい。晴れていてもなかなか見えない
↓ 望遠で撮影