アートとクモの話 ルイーズ・ブルジョワ展
六本木の森美術館でルイーズ・ブルジョワ展を見てきたのですが・・・
美術館のある六本木ヒルズの広場に以前から巨大なクモのアートが設置されているのは見ていたが、その作者のルイーズ・ブルジョワ(1911パリ生~2010ニューヨーク没)の美術展があるというので年末に見てきた。チラシのキャッチは「地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」(I have been to hell and back. And let me tell you, it was wonderful)。フランス人ではあるが20代後半にアメリカ人と結婚してニューヨークで暮らしたので英語で書いたのだろうが、翻訳というのは本人でない限りニュアンスが伝わっているのかどうか確かめようがないというような気がした(キャッチにケチをつけているわけではありません)。
多くの展示作品でついて行けるものは殆どなく美しいものを見た感激もなく、まあ、何というか好みに合わないといったレベルを遙かに越えていた。ただ、昔から広場で見ていた、高さ10メートル近いクモのインスタレーション(「ママン(Maman:仏語の母)」なる巨大なブロンズのクモは、ここを含んでニューヨークを初め世界9ヶ所で展示されているらしい。館内でも少し小ぶりなのが展示されていた)のみは鬼気迫る迫力を感じた。展覧会の資料によると作者はタペストリーを修復する仕事をしていた母親をクモになぞらえていて母性は生涯を通じてのテーマであったという。
小さいのならなんとか堪えられるが、基本的にクモ恐怖症の身としては唯一ある程度の共感を得られた作品が巨大なクモのアートというのは皮肉な結果ではあった。
↓ 美術展のチラシ
↓ 美術館の出口のタワー53階から新宿方面を望む。暗い作品群からは解放されたがこれを美しい景色と言うのだろうか?
↓ 一方、小さいクモなら大丈夫で写真も撮っているので少し紹介 アジサイ+蜘蛛の巣+水玉(アーカイブ 八王子市 2019年7月10日)
↓ ブルジョワとは視点が違うがクモの巣には形状も色彩も格別な美しさがある・・と思う (アーカイブ 2022年3月15日 川崎市)