高尾山 渋谷交差点とツチハンミョウ
晴天に恵まれたゴールデンウィーク、アキレス腱のリハビリを兼ねて高尾山に登ってきました。
年初以来のアキレス腱はなかなか完治しない、したと思ったのにやっぱりまだダメという状態が続いてる。安静にした方が良いとはわかっていてもなかなかそうもいかない・・・ということで折角の晴天、ケーブル利用で高尾山に登ってきた。山姥、山爺、最近は山ガール・ボーイもよく持っているストックを購入、試してみたがまあ少し楽な気はした。
そして着いた頂上は渋谷の交差点並みの混み合いだった。とはいえ富士は綺麗に見えたし昼も済ませ満足して下山しようと歩いていると頂上付近で男の子が家族と地面にかがみ込んで騒いでいた。お母さんがスマホで名前を調べ「ヒメツチ・・」と教えていた。グーグルレンズ使用?スマホで写真を撮って即検索で昆虫や花の名前の候補がすぐ画面に表示される優れもののアプリ。だいたい、これを使うと英語にしても仏語にしてもスマホをテキストにかざすだけで即時かなり正確な翻訳が出てくる。語学勉強する意味あるのかな??(いえいえ、ない訳はありません!)
閑話休題、ツチハンミョウ(ここにいたのはヒメツチハンミョウ)はなぜか早春の山の頂上付近で何度も見かけてはいるがとんでもない波乱と至る所でのサドンデスの危険にまみれて信じられないような生態のもとに生きている。ずいぶん以前の記事の焼き直しではあるが再度アップすることにした。
因みに、男の子とお母さんには「ツチハンミョウには毒があるから触っちゃダメだよ、分泌する汁が皮膚につくと水ぶくれになるから。何千もの卵を産んでもほとんどが成虫にはなれない厳しい環境条件で生き抜いてやっとここにいること、ファーブル昆虫記に詳しく出てるよ」などトリビアを披露して大いに感謝された、久しぶり・・・やっとのことで成虫になったというのにこの雑踏で人間に踏みつぶされたのでは余りに無残なので男の子と一緒に径の端の方に移してやった。
⇒ ファーブル昆虫記 ツチハンミョウのミステリー(集英社刊)
※ファーブルはどうやってこんな生態をつきとめたのだろう?
↓ 翅はほぼ退化したも同然で飛ぶことはできない。触角の形状からメスだとわかる
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何千個もの卵を産むヒメツチハンミョウ、なぜそんなにたくさん? ⇒ 成虫になる可能性が殆どゼロに近いから。余りに奇異な生態から、かの有名なフランスのファーブル昆虫記でも取り上げられていて、同昆虫記によると:
地中に産まれた卵から孵った幼虫は地上に這い出ると花によじ登りひたすら訪花する寄生主となる特定のハナバチの到来を待って ⇒ それとおぼしき昆虫が来たらしがみつく、まちがえて蝶やハナムグリにしがみついたらそこで一巻の終り ⇒ 目当てのハナバチであってもオスではだめでその場合は機会を捉えてメスに乗り移れなければそこで終り ⇒ ハナバチの巣に連れて帰ってもらった幼虫はハナバチの卵、幼虫、巣に貯えられた花粉などを食べて成長して蛹化 ⇒ 羽化してやっと成虫になる。
・・・と、数行で流れだけ書いてしまえば簡単ですがこの間、いたる所にサドンデスの危機が散りばめられ孵化した卵が成虫になる確率という点ではありえないような心もとない世界で生きていて、好んで何千個もの卵を産んでいるわけではなさそうです。成虫になってのんきに山頂を這い回ってはいますが実はエリート中のエリートなのです。
このツチハンミョウはいわゆるハンミョウ(オサムシ科)たちとは違って、ツチハンミョウ科に属しています。
↓ ハンミョウ 飛べる 派手な3原色系の構造色 アーカイブ 町田市 5月2日(2022年)
↓ コニワハンミョウ 飛べる 渋い色調はいぶし銀系 アーカイブ 川崎市多摩川 3月27日 (2021年)
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↓ 高尾山に戻って・・朝到着したケーブル山頂駅。構造補強とやらの工事の仮囲いで展望台からは何も見えない。前面のブナの樹が育ちすぎて前が見えなかったから樹の頂部を剪定でもするのかなと思ったが、樹には触らずに展望台の有料双眼鏡の位置は変えるとのことで工事は秋までかかるらしい。もはや展望台にはならないかもしれない
↓ 登山路
↓ 頂上の混雑