とんでもない寄生蜂 セナガアナバチ
近くの緑地で見つけた綺麗な小さなハチの生態は、あのゴキブリの天敵!というとんでもないものであることがわかりました。
朽ちかけた桜の老木の洞(うろ)廻りに小さな青緑のハチが飛び回ってるのを相棒が見つけた。咋夏に共にフィーバーした寄生蜂のミドリセイボウに感じが似ている。ただこいつはほとんどじっとしておらず常に素速く動き回ってはすぐ飛立つので極めて撮りにくい。名前が分からず帰宅後に検索してみると、やはり寄生蜂であったが、名前は「セナガアナバチ」といいゴキブリに寄生するという。当初「エメラルドゴキブリバチ」かと思っていたが相棒よりエメラルドの方は同じ「セナガアナバチ属」に属するが日本には分布せず熱帯に生息するとのこと。ゴキブリ??ということでさらに検索して判明したのは、このハチたちの驚くべき本能由来の方法でゴキブリを操りながら寄生するという生態であり、また、それを調べ上げた研究者の信じがたい熱意と技量であった。
↓ こんなところで生息していた。巣があると思われる
↓ 以下はWIKIPEDIAの一部抜粋: ⇒ 但しエメラルドゴキブリバチの説明
1940年代の初頭には、本種(エメラルドゴキブリバチ Mats注)の雌がある種のゴキブリを2回刺し、毒を送り込むことが報告されていた。2003年に行われた放射性同位体標識による追跡実験では、本種がゴキブリの特定の神経節を狙って刺していることが報告された。1回目の刺撃では胸部神経節に毒を注入し、前肢を穏やかかつ可逆的に約5分間麻痺させる。これは、より正確な照準が必要となる2回目の刺撃への準備である。2回目の刺撃は脳内の逃避反射を司る部位へ行われる。この結果、ゴキブリは30分ほど活発に身づくろいの動作を行い、続いて、正常な逃避反射を失って遅鈍な状態になる。
続いて本種はゴキブリの触角を2本とも半分だけ噛み切る。この行動は本種が自分の体液を補充するため、もしくはゴキブリに注入した毒の量を調節するためと考えられている。これは、毒が多すぎるとゴキブリが死んでしまって新鮮な餌でなくなる一方、少なすぎると逃げられてしまい、産みつけた幼虫が成長するための生餌が無くなってしまうからである。本種はゴキブリを運ぶには身体が小さいため、ゴキブリに半分だけ残した触角を引っ張ることで移動を促し、ゴキブリが自力で本種の巣穴へと足を運ぶよう誘導する。巣穴の奥深くに着くと、本種はゴキブリの前肢の基部に長径 2mmほどの卵を産みつける。その後、巣穴から出た本種は入り口を土や小石で塞ぎ、ゴキブリが他の捕食者に狙われないようにする。本種の親の役目はこの段階で終わり、次の宿主となる個体を探すために飛び去る。
逃避反射が機能しなくなっているゴキブリは、緩慢な動きで身づくろい程度の行動しかとらなくなっており、本種の卵が孵るまでのおよそ3日間、巣穴の中で何もせずに過ごす。孵化すると、芋虫のような姿の幼虫はゴキブリの腹部を食い破って体内に侵入し、これを食べながら4 - 5日の間は捕食寄生生活を送る。8日間、幼虫はゴキブリが死なない程度に内臓を食べ続け、そのまま体内で蛹化する。ゴキブリはこの段階になってようやく死ぬ。換言すれば、幼虫は生きたゴキブリを利用できるぎりぎりの段階まで肉として生かし続け、食べることをしない蛹の段階に入ると生かしておく必要が無くなり、ゴキブリは死ぬ。さらにはこの後、動けず完全に無防備な状態である蛹の間の4週間を、ゴキブリの死骸の硬い外骨格に守られてすごす。最終的に変態を遂げた本種はゴキブリの体を食い破り、外へ出で成虫としての生活を送り始める。一連の成長は気温の高い時期ほど早い。成虫の寿命は数か月である。交尾は1分ほどで終わり、雌は1回の交尾でゴキブリに数ダースの卵を産みつける。
尚、これもWIKI情報であるが、「1941年にアメリカの昆虫学者がゴキブリの生物的防除を目的として本種(エメラルドゴキブリバチ Mats注)をハワイに人為的に移入したが、この試みは本種の縄張り行動の傾向や狩猟量が小さいといった問題から、成功はしなかった」とのことで、どこでもゴキブリは嫌われ者らしい。
↓ 実際に樹の幹ではときおりゴキブリを見かけるがこいつは元気なのでまだハチに刺されてはいないのだろう、ただ、上記の記載にあるように触角が半分になっているのが片方だけというのはなにか引っかかる・・・
⇒ 以前の 寄生蜂↓ミドリセイボウの記事
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