その手に乗るか! ヒオドシチョウ
ミドリシジミの森に生息するのはシジミチョウだけはありません。 mats
先般の記事でミドリシジミを観察した荒川沿い森林公園にはもちろんシジミチョウだけでなくアゲハやタテハなど他の蝶たちも生息しています。上はタテハの仲間のヒオドシチョウ。「緋縅(ひおどし)」は昔の武士の鎧(よろい)の一つで緋色(=燃えるような赤)の革や組糸で編んだもので、蝶の命名としてはへんてこりんなものも多い(シー(C)タテハ、エル(L)タテハ、サカハチ(逆 八 )チョウなどなど)中、極めて格調が高い部類だと思います。写真のヒオドシチョウは新鮮な個体で、春に越冬した母蝶が産んだ卵が孵化して成長し、羽化したものです。ただ、これから1ヶ月ほど活動したあと夏眠~越冬するので新鮮なヒオドシが見られるのはしばらくの間だけです。越冬し春先に見られるヒオドシチョウはかなりズタボロ感満載、さながら刀折れ矢尽きた武士の印象が漂いますがそれでも母蝶は産卵します。
翅を開かないかと待ちましたが動く気配無し。そこでミドリシジミには効果抜群の伝家の宝刀、強力LED懐中電灯で照らして「開けゴマ!」・・・されど、モロ無視・・・一緒だった相棒のHenk氏がさきほど紫色にきれいに光るコムラサキを手に乗せて喜んでいたので、それならこちらもと、指をひと舐めして(こうすると口吻を伸ばすことが多い)差し出すと、思った通りゆっくりと乗ってきました、やった! そしてゆっくりと翅を開き、燃えるような緋色をまのあたりにした途端に、いきなり飛び去り、カメラを構えるスキも与えてくれず完全におちょくられました。残念ながらヒオドシの格調高い色を撮れなかったので、以前に撮影した写真を代用します。その下は、越冬してヨレヨレの春先のヒオドシチョウ。最下段は、LEDで素直に開いてくれるミドリシジミです。
↓ 格調高いデザインと配色(長野県南佐久郡 7月)
↓ 春先の傷んだヒオドシチョウ(相模原市 3月)
↓ LEDで開翅するミドリシジミ。一旦大きく開くとライトを外してもしばらく開いたままのことが多い(さいたま市 6月)