蝶のディテール 番外 コニワハンミョウ
蝶の羽には全体としての美しさの他に、鱗粉の配列が織りなす模様と色彩の中心となるディテールがあります。私たちを惹きつけてやまない蝶(及び番外)の魅力をシリーズでデザインのディテールから迫ってみました。 mats
「裏の多摩川の中州にコニワハンミョウが発生している!」相棒のHenk氏の最近の発見です。私も三十年以上この地に暮らしながらこんなに近くに生息しているとは気がつきませんでした。本家のハンミョウに比べると小さく「ちょっと見」は地味で飛び方も重みがないので見過ごされがちですがそのディテールに迫ってみると、いぶし銀のごとくなかなか渋いのです。一方、赤青で派手で「ミチオシエ」の異名を持つハンミョウは幼年時代の憧れでした。幼稚園まで京都の蹴上九条山で暮らしていましたが、なにせ山なので山を下り、たくさんのお寺の間を通って、なんと南禅寺の隣のお寺である永観堂(紅葉や重文「みかえり阿弥陀」で有名)がその境内で開いている幼稚園に通っていたのです。また、それから三十数年後には住んでいた家の上の方に、この10年以上毎週末に通っているアンスティチュ・フランセ(日仏学院。今通学しているのは東京の飯田橋の校舎で現在増築中)が管理運営する立派な「ヴィラ九条山」という文化交流施設が建てられ、あんな山に・・とこれも信じられませんでした。閑話休題、ハンミョウに話を戻すとこの綺麗な虫を通園路の山道でよく見かけ、それに加えてあのキラキラ輝くタマムシが山道から5~6メートル離れた谷のエノキの木にたくさん群れていたのです。でも、すばやすぎたり、遠すぎたりで両方とも高根の花でした。タマムシの方はお寺の小僧さん(さすが京都!)が捕虫網を物干の先に繋いで採ってくれて大喜びしたものですが、ハンミョウは誰も採ってくれず憧れの虫のままでした。半世紀以上経過して相変わらず、ハンミョウやコニワハンミョウをカメラで追い続けているというのも幼い日のくやしい思い出が一因となっているのでしょう・・・あるいは、進歩がないのかも・・・ (コニワハンミョウ:3月下旬 多摩川中野島撮影)
↑ コニワハンミョウ 3月下旬 多摩川中野島 ↓ ハンミョウ 8月上旬 西宮廣田神社