多摩川のギンイチモンジセセリ 訪花

再登場、多摩川のギンイチモンジセセリの話題です。 mats

え~、またギンイチですか、ずいぶん引っ張りますね~? そうなんです、前回花を訪れている画像がなかった、と言うか撮れてなかったので花とのコラボ写真を目指しました。どちらかというとススキやヨシの茎にとまっているのをよく見かけるセセリチョウです。多摩川土手では紫のナヨクサフジがどんどん増えていたるところで咲いているのでとまっているのはとても見つけるのは不可能、飛んでいるところから目で追ってとまったところを撮るしかありません・・・ということで漸く見つけて撮ったのが上の写真です。

私が「訪花写真がなかった」とか、相棒のHenk氏が「手乗りに成功!」とか、なんだかこの蝶に対して並々ならぬ愛着を抱いているのが記事の行間に読み取れるかもしれません。でも「蝶って感じじゃないし、ほかの記事に出てくる蝶たちに比べるとどう見ても地味だしなんでそんなに騒いでるの?」と突っ込まれるかも知れません。確かにそうなのですが、このギンイチはどこにでもいる蝶ではなく比較的珍しい部類に属すのと、私たちが住んでいるすぐ裏の多摩川に春の訪れと共にベニシジミやツバメシジミと一緒に姿を現わす季節の風物詩的な存在なのです。それが3年前、2019年10月12日の台風19号でギンイチの食草であるススキやヨシが繁茂する多摩川土手、河川敷とも異常な増水により動植物は壊滅的な打撃を受けました。13日の朝、随分水の引いた多摩川が下の写真です。多摩川流域では二子玉川あたりで氾濫し、武蔵小杉の再開発地域が冠水しました。中野島周辺も増水は異例なレベルであり氾濫は免れたもののその時にギンイチを心配する余裕はありませんでした。

↓ 台風一過の13日(日)朝8時。南武線が止まっているので関与している建築現場の確認のためサイクリングロードをひたすら歩く・・

翌年の春、予想通りギンイチは姿を見せません。絶滅?? ところが土手でたったの1頭ですが新鮮な個体をみつけ撮影できました。ただ、後にも先のもそれだけ。翌々年の2021年、同様に1頭を確認、撮影。極めて心細い状況でひょっとするとこのまま消え去るのか?という不安は拭えず。

そして迎えた2022年、ギンイチは見事に復活しました。日によりばらつきはありますが土手や河川敷を歩くと時折なんとなくたよりない飛ぶ姿を見せてくれ、いったいどうやって復活したのかは謎です。台風19号の時点では、ギンイチは幼虫(小さなケムシ)で土手や河川敷のススキ、ヨシなどイネ科植物の葉を食していたタイミングであり、それを襲った上の濁流に呑み込まれひとたまりもなく溺れたのか、はたまた必死にしがみついていたのかわかりませんが、3年目の今年、見事に復活してあちこちに姿を見せてくれています。あんな台風には私たちが如何に無力か思い知らされましたが、一方、ひとたまりもなかったはずのギンイチはその間、細々と命を繋ぎながらやっと復活を成し遂げ、生きものの「無力さ」と共に「しぶとさ」を痛感したギンイチ復活劇でした。トップの写真のように、ナヨクサフジを訪れている姿を見ると感激もひとしおです。 私たちの熱狂が少しご理解いただけたでしょうか?

↓ どちらかというと訪花よりこのスタイルで見かけることが多い

↓ 2020年4月25日 多摩川土手

↓ 2021年4月11日 多摩川土手

↓ おまけ画像のミヤマチャバネセセリ。このセセリも食草はススキ類でギンイチと同じ条件であったはず。いるとは聞いていたものの私たちが最近まで確認できていなかったのでギンイチの影に隠れてしまいました。

 

 

 

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