命を繋いだ 多摩川のギンイチモンジセセリ
ずっと気になっていたのは多摩川のギンイチモンジセセリ、一昨年10月の台風19号では多摩川が危うく溢れるところでしたが食草であるススキ類は濁流の底、そのころ卵か幼虫のはずのギンイチモンジセセリも絶滅かと思いきや、昨年4月下旬に一頭だけ見つけました。ただ、後にも先にもそれだけだったので果たして生き延びるのだろうかと心配していましたが、今日11日(日)土手を歩いていて見つけました。どうやらしぶとく命を繋いでいたようです。 mats
カラスノエンドウで吸蜜するギンイチモンジセセリ、後羽の裏に通っている一本の銀白色のスジからつけられた名前です。もう少しいいところにとまって欲しかったのですが、注文をつけられないところがつらいところ・・・昨年の出現記録を見ると4月25日とあるので2週間早いことになります。ただ、今回も他には見なかったので、この周辺は以前は比較的個体数が多かった事を考えるとやはり台風の影響は引きずっているのでしょう。地味なセセリチョウですがどこにでもいるという種類ではないのでなんとか勢いを盛り返してくれることを祈ります。下は一昨年の台風19号(10月12日夜通過)一過の13日の朝、随分水が引いた裏の多摩川です。この濁流の下のススキの周辺にいたに違いない幼虫或は卵がどうやって生き延びたのやら見当も付きません。
↓ 昨年上の写真あたりで見つけた唯一のギンイチモンジセセリ(羽化して間がない新鮮な個体)2020年4月25日
一昨年の大増水後の生息環境の激変を見て、正直なところ私も絶滅を懸念していただけに、この多摩川でちゃんと命をつないでいるギンイチモンジセセリの生命力には感動を覚えます。今年はもっと出会える可能性がありそうで楽しみです。ツマキチョウも、このギンイチモンジセセリもともに弱々しい飛び方をするので、か弱い印象がありますが、どっこい、我々が考えるよりはるかに逞しいのかも。