蝶のディテール コムラサキ
蝶の羽には全体としての美しさの他に、鱗粉の配列が織りなす模様と色彩の中心となるディテールがあります。私たちを惹きつけてやまない蝶(及び番外)の魅力をシリーズでデザインのディテールから迫ってみました。
ハイム周辺にいる蝶ではありませんが、コムラサキの幻光には文字通り目をくらますような怪しさがあります。高校の生物研究部で信州の研修旅行(とはいっても実態は昆虫採集が主体)で信州の七倉温泉から湯俣温泉まで高瀬川に沿って歩き、流れ込むいくつかの沢を登ったことがあります。もう半世紀以上も昔の話です。湯俣温泉というと槍ヶ岳(3180m、ただ当時は3179mとされていました)の麓で、高校生の身としては近い将来、大学時代にそんな山に自分が登ることになるとは思ってもみませんでした。明るい沢沿いには柳が多く、その柳を食樹とする無数とも言えるほどのコムラサキが飛んでいました。羽がある角度になると発するギラギラした構造色特有の紫色の幻光が目を刺します。袖に、帽子に、そしてアミにまでとまる、変幻自在に飛び回るこの蝶の美しさに魅了され、その光景は脳裏に焼き付いて消えることがありません。下の写真:8月初旬長野県南佐久郡で撮影
mats 参考 蝶百科図鑑 オオムラサキ(関連紹介)