探蝶漫遊記 ⑪ベニモンアゲハとシロオビアゲハ(石垣島遠征)
今回の遠征では例年安定しているはずのこの時期(11月)にもかかわらず雨にたたられ通しでした。従って余り遠出はせず移動時間を切り詰めて小止みになったら即撮影しようと宿に近いバンナ公園を中心に動いたのですが結果的には正解でした。 mats
バンナ公園(公園といっても山一つを含みその範囲はかなり広大)、ベニモンアゲハがランタナに飛来しています。多摩川土手でよく見るジャコウアゲハに似ていますが後翅中央の白い大きな紋で区別できます。翅全体の優雅な形態と紋、及びその配色は怪しげにして魅力的です。
↓ 胴体は赤い
↓ 後翅の赤い紋は「ベニモン」の由来。裏から見るといきなり毒々しさが際立つのは毒蝶たる所以。幼虫時代に摂取したアルカロイド系の毒を蝶になっても保有しています。
↓ こちらは、シロオビアゲハ。センダングサで吸蜜
↓ シロオビアゲハ メス
メスは上と同じような「白帯型」と、下の「紅紋型」の二つのタイプが出現します。上記の通り、ベニモンアゲハは幼虫時代に食草のウマノスズクサ(多摩川にいるジャコウアゲハと同じ食草。因みにジャコウアゲハは石垣島にも生息)から体内に蓄積したアルカロイド系の毒を成虫の蝶も保有している毒蝶です。従って、天敵の鳥は一度でも幼虫なり蝶を食すると中毒症状を起こし、この学習効果からベニモンアゲハは鳥を含む天敵に襲われにくくなるそうです(どのような観察データからの結論かは不詳)。シロオビアゲハのメスはこのベニモンアゲハに擬態して身を守っているとされています。ただ、この擬態が本当に有効であれば遺伝的にメスは時間の経過と共にシロオビ型が淘汰され紅紋型に収斂してくるような気がするのですがそうなってもいなさそう・・・